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一見、残業代がつかないように思われるケースでも、実は、法律上、残業代を支払う必要がある場合があります。
会社(使用者)の側でも、労働基準法の規定をよく理解しておらず、「残業代を払わなくてよい」と誤解しているという例も多く見られます。
以下に、代表的な例を挙げておきますので、ご自身が当てはまるケースがないか、確認してみてください。
CASE 01 労働時間の端数が切り捨てで計算されているケースです。
このような計算方法になっているのはよくあるケースだと思いますが、別のページでも書きましたように、原則として、労働時間は1分単位で計算しなければなりません。
例えば、30分未満の端数を切り捨て、30分以上の端数を30分(0.5時間)として計算するような方法が採られている場合がありますが、これは、常に労働者に不利な取扱いがなされる方法であり、「実際に労働した時間分の賃金が全額支払われていない」(賃金全額払いの原則違反)ということにほかなりません。
ですから、このような労働時間の端数の一律カットは、認められません。
これに対し、“四捨五入”のような考え方で、1か月の労働時間を通算して、そのうち30分未満の端数を切り捨て、30分以上の端数は1時間に切り上げて計算するという方法であれば、一般的に労働者に不利というわけでもないので、便宜的な計算方法として認められます。
ただし、この“四捨五入”類似の計算方法を毎日の労働時間について行うことは、認められていません。
毎日このような処理をすれば、実際の労働時間との差異が大きくなっていきますし、1日単位で見れば、どうしても端数がカットされることが多くなるのがその理由と思われます。
したがって、
(1) 労働時間の端数が一律カットされている
(2) 1か月通算ではなく、毎日の労働時間について、端数処理がなされている
というようなケースでは、1分単位で残業代を計算し直したうえで、実際に支払われた残業代との差額を精算しなければなりません。
CASE 02 会社(使用者)が、「1か月で○時間以上の残業は認めない。仮にそれ以上残業しても、勝手にやったのだから、残業代は払わない」などとして残業代支払いの上限時間を設けているケースです。
人件費の抑制のため、上記のような通達があることも、ありがちなケースではないでしょうか。
実際に、設定された上限時間の範囲内でのみ残業が行われているのであれば、問題はありません。
しかし、実際には、上限時間を超えて残業をしているというケースもあると思います。
この場合には、使用者が明示に残業を命じたのでなくても、労働者が残業していることを知りつつ、それを黙認していたのであれば、「黙示の残業命令」があったものと解されます。
また、通常の勤務時間内(所定労働時間内)に終えることができないほどの質・量の仕事を命じた場合にも、やはり、「黙示の残業命令」があったものと判断されて、残業代の支払義務が発生します。
労働者としても、できれば残業はせずに早く退社したいと考えるのが普通ですから、それにもかかわらず現実に残業を行ったのであれば、通常は、上記のいずれかに該当することになるでしょう。
したがって、「当社では、残業時間に上限を設けているから、それ以上残業をしても、残業代を支払わない」とか、「従業員が勝手に残業をしただけで、使用者の方から『残業しろ』と言った覚えはないから、残業代は払わない」というのは、まず通用しません。
残業時間に上限を設けていても、実際には、その上限を超えて残業が行われているという場合には、よほど例外的な事情がない限り、実際の労働時間に応じた残業代を支払う必要があります。
CASE 03 毎月、残業の時間数にかかわらず、一律の金額が固定(定額)残業代として支払われているというケースです。
固定(定額)残業代を支払っていれば、労働時間管理を行わなくてよいとか、それ以外に残業代を支払う必要はないなどと誤解している使用者が少なくありません。
しかし、就業規則等で固定残業代が制度化されていても、固定残業代が実際の労働時間に基づいて計算した残業代より少ない場合には、その不足額を固定残業代と合わせて支払わなければなりません。
これは、「固定残業代の方が多い場合もあれば、少ない場合もあって、1年間を通じて見れば、必要な額は支払われている」という場合でも同じです。
もちろん、その前提として、労働時間管理もきちんと行わなければなりません。
つまり、
(1) 固定残業代が実際の労働時間に基づいて計算した残業代よりも多い月は、固定残業代を支払っておけばよいけれども、
(2) 固定残業代の方が少ない月は、実際の労働時間に基づいて計算した残業代(固定残業代+α)の額をきちんと支払う必要がある(固定残業代を払っただけでは足りない)
ということです。
なお、固定残業代と実際の労働時間に基づいて計算した残業代との過不足を、翌月に繰り越して相殺することはできません。
(「先月は固定残業代の方が多かったんだから、いいじゃないか」は、通用しません。)
したがって、固定残業代が支払われているものの、固定残業代の額が実際の労働時間に基づいて計算した残業代の額より少ない月がある場合には、その不足額を追加して支払う必要があります。
CASE 04 「○○長」という肩書きが付き、多少の役職手当はもらっているが、「管理監督者だから残業代は払わない」という扱いになっているケースです。
いわゆる「管理監督者」については、労働基準法の労働時間および休日に関する規定の適用がなく、残業代・休日労働手当を支払う必要がないものとされています。
しかし、労働基準法の「管理監督者」に該当するかどうかは、役職名ではなく、その労働者の職務内容や権限の範囲、勤務形態、待遇などの実態に基づいて判断されます。
そして、管理監督者といえるためには、
(1) 職務内容、権限および責任の範囲に照らし、経営者と一体的な立場にあること
(2) 出社、退社や勤務時間について裁量があり、厳格な制限を受けていないこと
(3) 管理監督者たる地位にふさわしい待遇(相応な額の管理職手当、役職手当の支給など)を受けていること
が必要です。
裁判実務では、この「管理監督者」の範囲については、かなり厳格に解されているといえるでしょう。
「部下が何人かいる」とか、「形式的に『役職手当』が支払われている」というだけでは足りません。
したがって、いわゆる「名ばかり管理職」であって、労働基準法上の「管理監督者」には該当せず、残業代の支払義務を免れないというケースは多数あるものと思われます。
例えば、
・ 銀行の支店長代理
・ ファミリーレストランやファーストフード店の店長
などで、管理監督者の該当性が否定され、残業代の支払いが命じられた例があります。
したがって、管理職にはなったが、
(1) 自らの裁量で行使できるような会社運営上の権限が少ない場合
(2) 出社・退社や勤務時間について拘束を受けている場合
(3) 管理職になって長時間残業を強いられた結果、1時間あたりの賃金額がパートやアルバイト社員の時給さえも下回るようになった場合
(4) 管理職になる前と同じくらい働いているのに、残業代がつかないために、結局、管理職になる前よりも給料(年収)が下がってしまった場合
などには、労働基準法上の「管理監督者」には該当せず、残業代を支払わなければならない可能性が高いと考えられます。
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