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労働基準法、労働契約法などの法律を知っておくようにしましょう

職場で起こるトラブルや法律問題を対処するためには、労働基準法、労働契約法などの法律についての知識が必要です。

もちろん、詳細なところまで知る必要はないと思いますが、大まかにでも知っておけば、いざという時、何が問題であるのかを認識して、素早く対処することができます。

労働者としての自分の権利を守るため、まずは、労働基準法、労働契約法などの法律について知っておくようにしましょう。


事業主の皆様も、これらの法律を理解し、日頃から適切な労務管理を行っていただくよう、お願いします。

労働基準法とは

労働基準法」とは、労働条件に関する最低基準を定めた法律であり、労働契約関係について規定する最も基本的な法律です。

いわゆる正社員だけではなく、パートやアルバイト等の従業員も含めて、日本国内で営まれる事業に従事するすべての労働者に適用されます。

 

労働契約において労働基準法が定める基準を下回るような合意をしても、そのような合意は法律上当然に無効であり、無効となった部分については、労働基準法で定める基準が適用されます(強行的・直律的効力)。
また、労働基準法は罰則付きの法律ですので、労働基準法違反の行為については、刑事罰(罰金刑、懲役刑)が科せられる場合があります。

労働基準法の主な内容

労働基準法の主な内容は、次のとおりです。

 

1 労働条件の明示

 使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。

 

2 解雇の予告

 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払わなければならない。
 ※ これは解雇をする際の手続を定めたにすぎませんので、この手続に従い解雇予告をしても、客観的に合理的な理由を欠く解雇は、無効です。

 

3 賃金支払いの4原則

 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない(通貨払の原則、直接払の原則、全額払の原則)。
 賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない(毎月1回以上一定期日払の原則)。
 ※ 使用者が、賃金を労働者に対する他の債務と相殺することは、賃金全額払い原則違反となります。

 

4 労働時間の原則

 使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
 使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き1日について8時間を超えて、労働させてはならない。
 ※ このほかに、変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制等があります。

 

5 休憩

 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
 休憩時間は、一斉に与えなければならない。
 使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない
 ※ 作業と作業の間の待機時間である「手待ち時間」(使用者の指示があれば、すぐに業務に従事しなければならず、労働から解放されていない時間)は、労働時間の一部であって、休憩時間ではありません。

 

6 休日

 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも1回の休日を与えなければならない。
 ※ 4週間を通じ4日以上の休日を与えることでも可

 

7 時間外および休日の労働

 使用者は、労使協定(いわゆる36協定を締結し、これを行政官庁(労働基準監督署)に届け出た場合においては、その協定で定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる。
 ※ この協定の締結・届出なしに法定時間外労働や休日労働をさせることはできません。
 ※ 時間外労働(休日労働を含まない)の上限は、原則として、月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければ、これを超えることはできません
 ※ 臨時的な特別の事情がある場合でも、
  ・時間外労働…年720時間以内
  ・時間外労働+休日労働…月100時間未満、2〜6か月平均80時間以内
  としなければなりません。

 

8 時間外、休日および深夜労働の割増賃金

 使用者が、法定時間外労働、休日労働、深夜労働をさせた場合は、次のとおり割増賃金を支払わなければならない。 
 (1) 法定時間外労働 25%増し※)
 (2) 休日労働 35%増し
 (3) 深夜労働 
25%増し
 (4) 法定時間外かつ深夜労働 50%増し
(※)
 (5) 休日かつ深夜労働 60%増し
 ※ 1か月の法定時間外労働が60時間を超える場合は、その超える部分については、時間外労働の割増賃金は、25%増しではなく、50%増し(中小企業については、2023年4月から適用)。

→ 残業代の計算方法については、こちらをご参照ください。 

 

9 年次有給休暇

 使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。
 ※ その後、勤続年数が増加するに従って、年次有給休暇の付与日数は20労働日まで順次増加していきます。
 ※ また、パートやアルバイト等で週の所定労働時間が短い労働者にも、一定の年次有給休暇が付与されます。

10 就業規則

 常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成し、行政官庁(労働基準監督署)に届け出なければならない。

 

11 制裁規定の制限

 就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。

 

12 周知義務

 使用者は、労働基準法、就業規則等を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。


労働基準法についてもう少し詳しくお知りになりたいという方は、東京労働局がわかりやすいパンフレット(「しっかりマスター労働基準法」割増賃金編、解雇編、有給休暇編、管理監督者編、パート・アルバイト編)を作成しているようですので、東京労働局のホームページをご参照ください。

労働契約法とは

平成19年に労働契約についての基本的なルールを定めた労働契約法が成立し、平成20年3月より施行されています。
この労働契約法においても、いくつかの重要な原則が定められていますので、労働契約法についても知っておくようにしましょう。

労働契約法の主な内容

労働契約法の主な内容は、次のとおりです。

 

1 労働契約の成立

 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。
 ※ 契約書等の書面は、労働契約成立の要件ではありません。
 ※ いわゆる採用内定についても、一般に、内定をもって、労働契約(就労始期付き・解約権留保付きの労働契約)が成立したものと解されています。

 

2 就業規則と労働条件

 労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。

 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。
 ※ 合理的理由がない就業規則の不利益変更をしても、労働者への拘束力は認められません

 

3 就業規則違反の労働契約

 就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。
 この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

 ※ 就業規則より有利な内容で労働契約を締結することはできますが、就業規則より不利な内容で労働契約を締結することはできません(締結しても、無効です)。

 

4 懲戒

 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

 ※ 使用者が懲戒処分をするには、就業規則において懲戒事由と懲戒処分の内容を定めておく必要があります。

 ※ 懲戒の対象となる行為と懲戒処分との間には「比例原則」が働きますので、行為の内容に対して処分が重すぎる場合は、懲戒処分は無効となります。

 

5 解雇

 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

6 期間の定めのある労働契約

 使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

 

7 有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換

 同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約の通算契約期間が5年を超える労働者が、当該使用者に対し、現に締結している有期労働契約の契約期間が満了する日までの間に、当該満了する日の翌日から労務が提供される期間の定めのない労働契約の締結の申込み無期転換申込みをしたときは、使用者は当該申込みを承諾したものとみなす。

 ※ 労働契約法改正で新設された規定であり、平成25年4月1日以降に締結又は更新された有期労働契約から通算契約期間をカウントします。

 ※ 使用者は、労働者からの無期転換申込みを拒否することはできません。

 ※ 無期転換後は、契約期間以外については、従前の有期労働契約と同一の労働条件とされます(ただし、就業規則等で別段の定めがある場合を除きます。)

 

8 有期労働契約の更新等

 有期労働契約であって次のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

①  当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

②  当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

 ※ 有期労働契約の更新拒絶(雇い止め)に関する判例法理を明文化したものです。

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